第19話 「“やめられない人”との向き合い方」

競馬ストーリー連載|第19話
「“やめられない人”との向き合い方」
──理屈じゃない“心”の部分を見つめながら
▼ 「分かっていてもやめられない」人が、必ずいる。
- 軍資金が減ってきてるのにレースを止められない
- 平日も夜も、南関東も海外競馬も、全部買ってしまう
- 本命に自信がなくても、手が動いてしまう
そういう会員様と、僕は何度も向き合ってきた。
「やめたほうがいい」とか「一旦休みましょう」なんて、簡単には言えない。
だって、その人の中で“競馬=日常”になっているから。
頭では分かっていても、止められない。
そして、そんな自分を責めてしまう。
でも実は──僕も、そんな“やめられない気持ち”を理解している一人だったりする。
だからこそ、無理に止めたくはない。
でも、負けてほしくもない。
この2つの気持ちの間で、僕は今もずっと揺れている。
▼ 僕が伝えたいのは、「やめる技術」じゃない。
本音を言うと、僕は自由に競馬を楽しんでほしいと思ってる。
だけど、そこには大きなジレンマがある。
自由にやらせたら?
→ 僕の予想を購入してくれているぶん、負けたら僕への不信感に変わってしまう。
逆に、制限をつけたら?
→ 「つまらないやつ認定」で怒られたり、怖がられたり、不信感が生まれてしまう。
じゃあどうしたらいいのか?
「全レース当てて、すべてプラスにするしかないのか…」
そんなプレッシャーを感じたことも、実は何度もある。
でも──それは現実的に不可能だ。
ましてや、僕の予想は“軸1頭・相手5頭”の5点買いが基本。
会員様が僕の予想を参考にするにしても、
そのまま5点だけ買っている人なんて、ほとんどいない。
きっと、各々の判断や想いが加わって、買い目はもっと増えているはず。
それが自然な流れだと分かっていても、
「自分のせいで…」と感じてしまうこともある。
これが、僕にとって会長として一番つらい現実かもしれない。
▼ でも、本気で勝ちたいなら“止まれる技術”は必要だ。
競馬には波がある。
追い風の日もあれば、逆風の日もある。
その中で「今日じゃない」と自分に言えるかどうか。
それが“競馬力”のひとつだと僕は思ってる。
勝つための知識よりも、
「冷静に一歩引く力」の方が、よっぽど大切だったりする。
▼ 無理に止めることが“正解”じゃない。
僕がやってきたのは、否定ではなく「整理」だった。
- なぜやめられないのか?
- どんな気持ちで馬券を買っているのか?
- 何を満たしたくて賭けているのか?
それを一緒に紐解いていく。
焦り?
孤独?
当てたいだけじゃない、何かを取り戻したい気持ち?
その人の“心の背景”を見にいくのが、僕のやり方だ。
▼ “信頼”があるから、止めどきも伝えられる。
「今日はやめときましょうか」
「この日は、見送ってもいいかもですね」
──そう伝えたとき、うなずいてくれた会員様がいた。
無理に止めたんじゃない。
一緒に“引き算の判断”ができたことが、嬉しかった。
▼ 競馬が好きだからこそ、壊れないでほしい。
僕は、誰かの競馬人生が“壊れていく瞬間”を見たくない。
好きだった競馬が「苦しいもの」に変わってしまう前に、
僕ができることがあるなら全力で支えたい。
▼ だから僕が伝えたいのは、やめることではない。
「整えること」なんだ。
- 自分の感情を整える
- 軍資金を整える
- レースの選び方を整える
かわな式の本質は、予想力じゃない。
“継続できる形を整えること”だったのかもしれない。
▶️ 次回予告:「“競馬と生きる”ということ」
最終話は、僕自身の“物語の着地”。
なぜここまで競馬と向き合い、言葉にし、発信し続けてきたのか。
競馬と共に歩いてきた僕自身の“心の答え”を、最後に綴ります。