第8話:「師匠と思っていた方からのネット攻撃」

──競馬以外での戦いが待っているなんて、あの時は思いもしなかった。
「なんでこんなことに…?」
画面を見つめたまま、僕は固まっていた。
それは、ある日のアメブロのコメント欄だった。
毎週末の予想に手応えを感じ、少しずつ会員様も増えていた時期。
「馬券的中率アップの会」は30名を超える会員様に軸馬予想を見ていただいていた。
軸馬の提供に絞り、あとは会員自身が相手を選ぶ。
──それが、かわな式のスタイルだった。
「当てたのは“自分自身”」
そう思ってもらえることが、僕にとっての喜びだった。
だからこそ、ブログに現れた“あの人”の言葉は、
まるでナイフのように突き刺さった。
「当たって当然。赤ちゃんでも当たるクソ予想」
「また外れ?お前の軸馬どこ行ったん?ヘタクソが。」
最初は軽い嫌がらせだと思った。
けれど、次第にコメントはエスカレートしていく。
さらに驚いたのは──
その人物が、わざわざ僕の会員様にまでメッセージを送り、
「この人の予想はインチキだ」「退会した方がいい」と退会を促しはじめたことだった。
その影響で、2名の会員が静かに会を去った。
正直、辛かった。
夜中にPCを見ながら、情けなくて泣いた日もある。
でも、僕には“ひとつの違和感”があった。
【アカウントURLの末尾が、あの人と一致していた】
僕が競馬を真剣にやろうと思うきっかけになった、
かつて“師匠”と呼んでいた人がいた。
僕よりも先にアメブロで競馬ブログを運営していた。
かつては交流もあり、何度もメールでやり取りをしていた人だった。
その彼のURLと、荒らしのアカウントURLの末尾が…まったく同じだった。
「まさか、とは思った。」
でも、確信に変わるのは早かった。
僕の会が少しずつ盛り上がり、PVや会員数が伸びている一方、
師匠のブログは有料が多く徐々に勢いも失っていた。
……嫉妬だったんだと思う。
でも僕も、何も知らずに“同じような文体”でブログを書いていた。
影響を受けていたのは事実だ。
真似をしていたといっても過言では無い。
それでも、僕は一度も彼を悪く言ったことはなかった。
むしろブログで紹介したり、彼のノウハウに敬意を払っていたつもりだった。
【電話をかけた】
迷った末に、僕は電話をかけた。
以前、競馬に行ったときに交換した番号が、まだ携帯に残っていた。
「……久しぶりです、かわなです。少しお時間いいですか?」
電話口の声は、想像以上に冷たかった。
けれど、僕はゆっくりと、丁寧に話した。
「僕はあなたを尊敬してました。今も感謝しています。」
「でも、会員さんを傷つける行為は、もうやめてほしい。」
沈黙のあと、彼はポツリとこう言った。
「……すみません。すこし、ムカついてた。余裕なかったです。」
怒鳴り合いも、論破もなかった。
いや、ウソ。少し詰めた気がする笑
ただ、二人の間に流れたものは──“少しの後悔”と“ほんの少しの敬意”だった。
それでいい。
僕たちは、同じ競馬という世界で生きている。
やり方は違えど、目指す場所は似ているのかもしれない。
【この出来事が、かわなを変えた】
この一件で、僕はひとつ大きなことを学んだ。
「人に何かを与える立場になったとき、それ以上に自分が試される。」
30名の会員様を守るという責任。
誹謗中傷に屈しない覚悟。
そして、競馬で“人を幸せにする”という信念。
あの出来事があったから、
僕はより強く、より優しくなれたと思う。
▶️【第9話へ続く】
馬券的中率アップの会、第2章への幕開け
〜コロナ期 YouTubeとの出会い〜